腰痛について

腰痛について

整形外科 米須 寛朗

腰痛について

 今年の6月から、脊椎外来・手術を担当しています。私の外来を訪れる患者さんの多くは、

①頚部痛、肩こり、腰痛などがある方
②四肢のしびれや手指の細かい動きが困難となっている方
③下肢のしびれや坐骨神経痛、下肢脱力などのために、長時間の立位や歩行が困難となっている方です。

これらの愁訴のうち、今回は、腰痛についてお話しします。

腰痛の有訴率

 腰痛は決してあなただけの愁訴ではありません。平成16年度の厚労省の国民生活調査で、腰痛は、病院を訪れる主訴(困っている症状)の第1位となっており、腰痛の有訴率は1,000人あたり96.5人ですから、10人に1人は現在腰痛が有るということになります。男性では、30歳以降は各世代で、約3割の人が腰痛を訴えます。また、女性の30歳代の、腰痛有訴率は20%で、加齢とともに徐々に増加し、70歳代では、40%以上という報告があります。

 腰痛はこのように、誰しもがその生涯において一度、あるいは繰り返し、また、 慢性的に経験する症状であり、日常生活、 就学、就労、趣味のスポーツなどに影響します。そのため、腰痛はその他の関節痛と異なり、その痛みは苦悩を伴うと言われています。

腰痛の原因

 では、このような腰痛の原因は何でしょうか?

①脊椎(背骨)、椎間板(背骨の間にある軟骨)、椎間関節(背骨の後方にある一対関節)や傍脊柱筋などの脊柱疾患由来

②尿管結石、婦人科疾患、癌などの内臓疾患由来

③胸腹部大動脈解離などの脈管由来

④パーキンソン病などの神経疾患由来

⑤ストレス、うつ病などの心因性

 腰痛の原因は、以上のように分類されますが、腰痛の80%以上は、その原因を特定できない非特異的腰痛です。
 少し前までは、腰痛の原因を解剖学的 異常に求め、腰痛を訴える人に、椎間板腔の狭小化、骨棘形成、椎間関節間の分離、すべりや側弯、後弯などの脊柱アライメント(配列)の異常を認めると、変 形性腰椎症、腰椎分離症・分離すべり症、変性すべり症と診断していましたが、最近では、加齢とともに見られるこれらの画像上の異常(変化)が必ずしも腰痛の原因となっていないことが分かっています。
 患者さんの中には、「この痛みは、筋肉痛ではなく、椎間板性の痛みだ」、「こ んなに痛いのだから、悪い病気に違いな い」と、おっしゃる方がいます。しかし、 こと腰痛となると、その原因の特定は非 常に困難です。

腰痛の診療

 それでは、私たち整形外科医は腰痛をどのように診ていくのでしょうか?腰痛の診療は、それを放置すると死・麻痺などの重大な事態を招く腰痛、つまり「レッドフラッグ」と言われる癌の脊椎転移、化膿性脊椎炎、胸腰椎圧迫骨折などを除 外診断することから始まります。このよ うな「レッドフラッグ」と呼ばれる腰痛 は、安静で軽減しない発熱、麻痺を伴う など症状に特徴があり、また、レントゲ ン、MRIなどの画像検査がその診断に 非常に有用です。
 非特異的腰痛であれば、治療の種類、有無にかかわらず、1~2週間で軽快することが多いので、それ以上の期間続く場合は、按摩、灸、鍼、カイロプラクティッ クなどの代替医療を漫然と続けるだけで なく、整形外科を受診し、レッドフラッグ で無いことをたしかめることが必須です。

イエローフラッグ

 また、非特異的腰痛であっても、その再発率は、40%以上あり、時には慢性化することもあります。このような場合、最近では、「イエローフラッグ」と呼ばれる精神的、社会的因子、つまり、家庭、職場でのストレス、「腰痛が完治してか ら復職しようと思っている。あるいは、 それまでは十分に安静をとらなければな らない」などの腰痛に対する不適切な態 度と信念を持っていたり、保障・補償問 題が絡んでいることが、腰痛の再発、慢 性化に深く関与していると考えられています。

 これらのイエローフラッグに対する集学的アプローチは、現在の医療では十分出来ませんが、もし、慢性的な腰痛がある場合は、これらの影響があるかもしれ ないことも一考することが大切です。

 次回は、四肢のしびれや筋力低下、長 距離の歩行が困難になるなどの麻痺症状 を起こす代表的な疾患である、頚椎症性脊髄症や腰部脊柱管狭窄症についてお話しします。

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